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2026-09-30 終値時点 · 2027年3月期第1四半期(2026年6月30日)まで、決算短信は2026年8月4日公表。有価証券報告書は2026年6月12日提出

三井物産8031.T

三井物産、1Q当期利益53%増も2割強は資産リサイクルとIPO評価益

2027年3月期第1四半期の当期利益(親会社の所有者に帰属)は2,941億円と前年同期比53.4%増えました。ただし会社が示す資産リサイクル501億円とFVTPL(純損益を通じて公正価値測定)240億円で約4分の1を占め、これらを除くと増益率は約29%(推定)にとどまります。会社KPIの基礎営業CF 2,809億円にもIPO評価益が含まれ、営業CFは423億円にすぎません。通期予想9,200億円は据え置きで、2,000億円の自社株買いとバークシャーの10.83%保有が株主還元を支えます。ドル建てでS&P500と比べる当社基準のスコアカードでは「中立」です。

レーティング · 12カ月 · 対 S&P 500
中立
2026-09-30 確定 · レーティングの定義
株価¥4,9302026-09-30 終値
時価総額¥14.01T卸売業
1年騰落率+37.1%年初来 +8.7%
今期予想PER13.8xEPS 356.94(アナリスト平均)
次回決算2026-11-04yfinance カレンダー
01

相場環境

この1年、日本株は米国株を大きく上回りました。日経平均(日経225)は66,754円で1年騰落率が48.6%、TOPIX(yfinanceに^TOPXがないため1306.T ETFで代用)は34.0%上昇し、S&P500の15.2%を大きく引き離しています。ただ直近3カ月の日経平均は5.3%下落し、相場は一服しています。

金利は日米そろって上昇しています。10年物国債利回りは3.08%(財務省、9月29日)で1カ月に15bp上昇、米10年債利回りは5.25%で54bp上昇しました。ドル円は156.8円で、1カ月で円が2.1%上昇しています。VIXは15.9と落ち着いています。

商社株は相対的に強く、TOPIX-17 商社・卸売 ETF(1629.T)は3カ月で13.9%、1年で38.1%上昇しました。三井物産は円建てで1年37.1%上昇したものの、年初来は8.7%にとどまり、TOPIXを14.2ポイント下回ります。株価は3月27日の6,390円(配当調整後)から7月1日の4,378円まで31.5%下落し、その後4,930円まで戻しました。

レーティングの基準はドル建てのS&P500です。 ドル建てでは1年で29.9%上昇し、S&P500を14.8ポイント上回りました。3カ月では14.5ポイント上回り、6カ月では37.6ポイント下回っています。週次ベータはマイナス0.55、相関係数はマイナス0.22で、米国株とはほとんど連動していません。株価を動かすのは為替と商品市況です。

指数とセクター

直近1週間1カ月3カ月年初来1年
日経平均66,753.72+2.7%+0.7%-5.3%+32.6%+48.6%
TOPIX(1306 ETF)431.50+1.2%-0.5%+3.3%+22.9%+34.0%
S&P 5007,670.84-1.2%-0.5%+2.3%+12.1%+15.2%
ドル円156.81-0.4%-2.1%-3.6%+0.3%+5.5%
TOPIX-17 商社・卸売 ETF(1629.T)275.00-2.1%+1.7%+13.9%+21.5%+38.1%
8031.T4,930.00-3.1%-0.2%+12.6%+8.7%+37.1%

金利・ボラティリティ・相対パフォーマンス

日本10年国債利回り3.08%1カ月 +15bp
VIX 恐怖指数15.881カ月 +0.96
米10年債利回り5.25%1カ月 +54bp
対 S&P ベータ-0.551年相関係数 -0.22
3カ月の超過リターン+14.5%対 S&P 500
1年の超過リターン+14.8%対 S&P 500

マクロと市場の出来事

日付出来事この銘柄にとっての意味出典
2026-09-14ホルムズ海峡の通航障害続く、ブレント原油は107ドル台

三井物産の2027年3月期事業計画はブレント78ドル、連結油価84ドルが前提です。連結油価1ドルの変動は当期利益(親会社の所有者に帰属)に90億円(Net、決算説明会資料、2026年8月4日)の影響を与えます。油価の約55%は4~6カ月遅れで業績に反映されるため、高油価の恩恵は主に下期に表れます。一方で中東のLNG投資は「中東情勢が短期的に正常化に向かう」との仮定で公正価値を測定しており(有価証券報告書、2026年6月12日)、中東のメタノール事業は製品を出荷できていません(質疑応答)。油価の上振れがどれだけ利益を押し上げるかは推測で、情勢の長さ次第です。

Al Jazeera
2026-09-16FRBが0.25%利上げし3.75~4.00%に、米10年債利回りは一時5%超

米金利の上昇はドル高・円安要因です。三井物産の業績には円安がプラスで、ドル円1円の変動で当期利益は46億円動きます(前提150円)。ただしレーティングはドル建てのトータルリターンで評価するため、円安はドル換算の株価リターンを押し下げ、両者は一部相殺されます(推測)。

CNBC
2026-09-18日銀が1.25%に利上げ、3カ月で2回目

採決は7対2でした。10年物国債利回りは3.08%(財務省)です。影響の経路は二つあります。一つは資金調達コストで、三井物産の6月末ネット有利子負債は4.42兆円、2026年3月期の支払利息は1,903億円でした。もう一つは換算で、円高は海外利益の円換算額を減らす一方、株主のドル建てリターンを押し上げます。

第一生命经济研究所
02

イベント

2026-09-01
中立
会社発表

8月の自社株買いは112.5億円にとどまる

8月5日~31日に2,276,700株、112.5億円を取得し、2,000億円枠の5.6%しか使っていません。残り5カ月で均等に買うと月約378億円(推定)が必要です。10月初めに出る9月分の取得状況が注目点です。

出典:TDnet(2026-09-01)
2026-08-04
好材料
会社発表

2,000億円の自社株買いと全株消却、株主還元は基礎営業CFの50%超に

取得期間は2026年8月5日~2027年1月29日、上限6,000万株(発行済株式の約2.1%)で、2027年2月5日に消却します。中期経営計画の還元方針は「50%水準」から「50%超」に引き上げられました。質疑応答では、今回の取得を含めると今期の還元は基礎営業CF計画の57%に達すると説明しています。年間配当は140円(25円増配)の予定です。

出典:决算短信、自己株式取得公告(2026-08-04)
2026-08-04
好材料
決算

1Q当期利益53.4%増、4分の1は資産リサイクルとFVTPL

当期利益(親会社の所有者に帰属)は2,941億円で、yfinance集計の四半期予想を大きく上回りました(EPS 103.73円対75.65円)。ただし米国不動産事業CIM Groupの再編益442億円、海外エネルギー事業IPOに伴うFVTPL 109億円、量子コンピューティング事業IPOに伴うFVTPL 102億円が含まれます。通期予想9,200億円は据え置きで、進捗率は32%です。

出典:决算短信(2026-08-04)
2026-07-22
未確定
会社発表

ペンスキー・コーポレーションとPenske Automotiveの非公開化を提案、浮動株取得に38億ドル

1株210ドルで浮動株27.8%を取得する法的拘束力のない提案です。三井物産はすでに20.3%を保有しています。三井物産の出資比率は開示されていません。CFOは質疑応答で、資金は中期経営計画の2.4兆円の「マネジメント・アロケーション」から充てると述べました。特別委員会の判断、価格引き上げの有無、三井物産の負担額が焦点です。

出典:三井物産新闻稿
2026-07-10
未確定
会社発表

サハリンⅡの新運営会社の定款締結、評価は引き続き確率加重

決算短信の注記によると、Sakhalin Energy LLCの新たな出資者が決まり2026年7月10日に定款が締結されましたが、地政学リスクは依然高く、公正価値は「配当収入が続くシナリオ」などの確率加重平均で測定しています。金額は開示されておらず、リスクは定量化できません。

出典:决算短信(2026-08-04)
2026-07-01
好材料
会社発表

バークシャーの保有比率が10.83%に上昇

バークシャー・ハサウェイ完全子会社のナショナル・インデムニティーが変更報告書No.4を提出しました。保有株数は310,311,400株、保有割合は9.82%から10.83%に上昇し、報告義務発生日は6月24日、保有目的は純投資です。4月27日~6月24日に市場内で約1,109万株を買い増しており、ちょうど株価の下落局面にあたります。

出典:EDINET 变更报告书(2026-07-01)
2026-05-01
中立
決算

2026年3月期は7.4%減益、新中計は2029年3月期に当期利益1.1兆円

通期の当期利益(親会社の所有者に帰属)は8,340億円(前期9,003億円)、基礎営業CFは9,789億円(前期10,275億円)でした。中期経営計画2029は基礎営業CF 1.2兆円、当期利益1.1兆円、ROE 12%を掲げ、配当は140円を下限とします。公表当日の株価は2.2%下落し、日経新聞は資金配分とレバレッジの目標が不明確との市場の声を伝えました。

出典:决算短信、中期经营计划公告(2026-05-01)

赤は好材料、緑は悪材料(中国式の配色)、灰色は中立、青はまだ判断できないもの。

yfinance の未加工ニュース見出し(10件、未選別)
03

レーティングとスコアカード

当社のレーティング

中立
今後12カ月のトータルリターンが S&P 500 と±10ポイント以内と予想 · スコアカード加重点 2.75

加重スコアは2.75(ファンダメンタルズ3、バリュエーション2、モメンタム3、決算の質3、リスク3)で、「中立」の範囲(2.4~3.6)です。レーティングは今後12カ月のドル建てトータルリターンをS&P500と比較します(発行者はすべての銘柄に同じ基準を使っています)。このため円相場の変動はそのまま反映されます。

上振れ要因:油価が計画を大きく上回ること(連結油価1ドルあたり90億円)、2,000億円の自社株買いの加速、ペンスキー案件の妥当な価格での成立、バークシャーの買い増し。

下振れ要因:1QのCIM再編益とIPO評価益は繰り返しません。中東LNGの評価前提が崩れる可能性、鉄鉱石価格の下落(1トン1ドルあたり30億円)、急激な円高による円建て利益の目減り。

評価を変える条件:11月4日の中間決算で一過性を除く四半期利益が2,300億円以上を維持し、通期予想を1兆円超に引き上げれば「買い」に引き上げます。中東LNGの減損や自社株買いの明確な減速があれば引き下げを検討します。

レーティングは公開情報にもとづくリサーチ上の見解で、特定の個人の資産状況を前提にしたものではありません。ルールと分布は レーティングの定義

ファンダメンタルズ3/ 5
バリュエーション2/ 5
モメンタム3/ 5
決算の質3/ 5
リスク3/ 5

リスクの点数は高いほどリスクが低いことを示します。5項目の加重点から推奨レーティングを出し、発行者が確認して確定します。

この点数の理由

ファンダメンタルズ3 / 5

総合商社の収益は大半が商品の取引額で、売上高ベースの採点ルールは当てはまりにくいため、当期利益と基礎営業CFで判断します。

  • 直近12カ月の収益は15.04兆円で前年比6.5%増、3点の水準です。直近四半期の31.7%増は主にエネルギー、化学品の数量・価格によるものです。
  • 2026年3月期は当期利益が7.4%減、基礎営業CFが4.7%減でした。2027年3月期の会社予想は当期利益10.3%増、基礎営業CF 7.3%増です。
  • 1Qから資産リサイクル、FVTPL、一過性要因を除いた当期利益は約2,267億円、前年同期比約29%増(推定、決算説明会資料の要因分析から算出)で、市況(+140億円)、円安(+170億円)、化学品トレーディングとメタノールが寄与しました。
  • ROEは約10.5%(直近12カ月の当期利益9,364億円÷親会社所有者帰属持分の平均、推定)で、会社目標の12%を下回ります。

成長は確かですが突出してはおらず、3点とします。

直近12カ月の収益6.5%増、2026年3月期の当期利益7.4%減、2027年3月期予想10.3%増、1Q一過性除き約29%増(推定)

バリュエーション2 / 5

yfinance集計の今期(2027年3月期)予想EPS 356.94円に基づくPERは13.8倍で、同業中央値14.5倍より4.8%低く、3点の水準です。

1段階引き下げた理由は次の通りです。

  • PEGが高い:アナリストは来期EPSの伸びを3.1%(356.94円→368.05円)しか見込んでおらず、PEGは約4.5と2.5を上回ります。
  • コンセンサスが会社予想を10%上回る:会社予想EPS 324.54円ではPERは15.2倍で、同業中央値より4.8%割高です。コンセンサスには1Qのような再現性の低い利益が織り込まれている可能性があります。

配当利回り2.8%と自社株買い1.4%を合わせた株主還元利回り約4.3%(推定)が下支えです。PBRは約1.56倍です。

今期予想PER 13.8倍(会社予想ベース15.2倍)、同業中央値14.5倍、EPS成長率(今期→来期)3.1%

モメンタム3 / 5

ドル建てでS&P500と比べると、3カ月で14.5ポイント、1年で14.8ポイント上回る一方、6カ月では37.6ポイント、年初来では3.9ポイント下回っています。株価4,930円は50日移動平均を1.0%、200日移動平均を6.2%下回ります。強弱が入り交じり、3点とします。

ドル建て超過リターン:3カ月+14.5%、6カ月−37.6%、1年+14.8%、年初来−3.9%。200日線を6.2%下回る

決算の質3 / 5

5点から2点減点します。

  1. 1Qの有価証券損益870億円は法人所得税前利益3,622億円の24.0%を占めます(10%超でマイナス1)。主因はCIM Group残存持分の公正価値評価益です(決算短信、2026年8月4日)。直近12カ月では9.8%です。
  2. 会社KPIの基礎営業CFにIPOに伴うFVTPLが含まれています。1Qの基礎営業CFは646億円増え、エネルギーセグメントは「海外エネルギー事業IPOに伴うFVTPL」、イノベーション&コーポレートディベロップメントセグメントは「量子コンピューティング事業IPOに伴うFVTPL」を増加要因に挙げています(決算説明会資料11ページ)。これは評価益で、現金ではありません(マイナス1)。

減点しない項目:直近12カ月の営業CFから有形固定資産の取得を引くとマイナス3,879億円と当期利益を大きく下回りますが、主因は会社が説明しているRhodes Ridge鉄鉱石事業への投資です。1Qの運転資本の増加2,715億円は取引量増加に伴う売掛金の増加によるもので、回収条件の延長を示す記述はありません。年度の数値はyfinanceと完全に一致し、決算の修正再表示も見当たりません。2026年1月30日の2025年3月期第3四半期決算短信の訂正は持分変動計算書の自己株式の1行のみです。

1Q有価証券損益が税前利益の24.0%、基礎営業CF 2,809億円にIPOのFVTPLを含む、営業CFは423億円のみ

リスク3 / 5

5点から2点減点します。

  1. 簿外の保証:有価証券報告書の注記25によると、2026年3月末の保証の潜在的最大支払額は1.148兆円で、時価総額14.01兆円の8.2%と5%の基準を上回ります(マイナス1)。保証残高は6,288億円、求償可能額を除いた実保証額は5,657億円で、年間営業CFの約0.6倍です。
  2. 定量化されていない地政学リスク:中東のLNG投資は「ホルムズ情勢の短期的な正常化」を前提に評価し(有価証券報告書)、サハリンⅡは確率加重で評価しています(決算短信)。いずれも感応度は開示されていません(マイナス1)。

減点しない項目:1年のボラティリティ34.0%、最大ドローダウン−32.7%はいずれも基準内です。ネットDERは0.49倍で、顧客の集中もありません。

保証の潜在的最大支払額1.148兆円(時価総額の8.2%)、ネットDER 0.49倍、ボラティリティ34.0%、最大ドローダウン−32.7%

ウォール街の見方

評価の分布(13社)

強い買い 2買い 5保有 6売り 0強い売り 0

目標株価のレンジ

中央値 6,055 · 平均 6,209最低 4,500最高 8,600現在値 4930

yfinance の集計、アナリスト12人、更新時期は不明。分布を示すだけで、目標株価を裏づけるものではありません。

04

決算を読み解く

四半期業績

四半期末売上高前期比前年比粗利率営業利益率純利益希薄化後 EPS営業CFフリーCF
2025-06-30¥3.30T-10.3%-14.1%9.1%–¥191.6B66.63¥262.6B¥344.3B
2025-09-30¥3.46T+4.8%-0.9%9.2%–¥232.1B80.66¥166.2B¥259.8B
2025-12-31¥3.60T+4.0%-1.5%9.7%–¥188.2B65.60¥51.2B¥878.2B
2026-03-31¥3.64T+1.2%-1.1%9.9%–¥222.0B77.97¥473.0B¥579.0B
2026-06-30¥4.35T+19.5%+31.7%9.5%–¥294.1B103.65¥42.3B¥136.1B

出典:EDINET / TDnet(季度数据由公司 IR 资料库的决算短信 PDF 文本解析得到(累计值差分成单季,Q4 = 全年 − 前三季);EPS 为累计 EPS 差分的近似值;TDnet 只保留约 1 个月,XBRL 版本已下架时无法使用。)。フリーキャッシュフロー=営業キャッシュフロー − 設備投資。第4四半期の EPS は XBRL に欠けることが多く、会社発表の数字を優先します。

バリュエーション

基準EPSPER
GAAP、直近12カ月290.7117.0x
調整後、直近12カ月(アナリスト基準)328.1715.0x
今期予想(0y)356.9413.8x
来期予想(+1y)368.0513.4x

yfinanceのtrailingPE 17.0倍は前期のEPSを使っています。直近4四半期のIFRS基本的EPS 328.17円で計算すると15.0倍です。今期はアナリスト予想356.94円(13.8倍)と会社予想324.54円(15.2倍)の二つの基準があり、10%の差は主に1Qの一過性利益を先に延ばして織り込んでいることによるものです。

現在の株価で計算。予想 EPS は yfinance が集計したアナリスト平均で、調整後ベースです。

決算書が語っていること

  1. 1Q利益の約4分の1は再現しません。 yfinanceではEPS 103.73円、予想比37%の上振れです。決算短信と決算説明会資料(2026年8月4日)の要因分析では、資産リサイクル501億円(うちCIM Group再編442億円)、FVTPL 240億円(海外エネルギー事業IPO 109億円、量子コンピューティング事業IPO 102億円)、評価性・一過性要因マイナス67億円です。合計674億円で当期利益2,941億円の22.9%にあたります。除いた当期利益は約2,267億円、前年同期比約29%増(推定)です。上振れの大半は巡航速度とは言えません。
  2. 基礎営業CFに現金を伴わないIPO評価益が入っています。 三井物産は基礎営業CFを、営業CFから運転資本の増減を除き、リース負債の返済を控除した額と定義しています。1Qは2,809億円(30%増)で、増加要因には「海外エネルギー事業IPOに伴うFVTPL」「量子コンピューティング事業IPOに伴うFVTPL」が挙がっています(決算説明会資料11ページ)。実際の営業CFは423億円で、運転資本の増加(主に売掛金)で2,715億円が流出しました。株主還元はこの指標の50%超と定めているため、定義に注意が必要です。
  3. Rhodes Ridgeでキャッシュフローは赤字に。 2026年3月期の有形固定資産等の取得は1.108兆円(前期3,461億円)で、2025年10~12月の単四半期だけで約8,270億円(推定、累計値の差分)でした。有形固定資産は1.25兆円増え、うちRhodes Ridge鉄鉱石事業が8,571億円です(決算短信、2026年5月1日)。有価証券報告書では投融資1.38兆円、株主還元5,300億円で、株主還元後キャッシュフローはマイナス5,880億円でした。ネット有利子負債は3.33兆円から4.14兆円(6月末4.42兆円)に増え、ネットDERは0.44倍から0.49倍に上昇しました。
  4. 持分法による投資損益が利益の4割。 2026年3月期の持分法による投資損益は4,474億円で、法人所得税前利益1.087兆円の41.2%、直近12カ月では38.3%です。この利益は現金ではなく、関係会社からの配当で還流します(2026年3月期の配当金受取額は持分法適用会社分を含め5,506億円)。
  5. 基本数値は一致します。 2025年3月期と2026年3月期の収益、当期利益、希薄化後EPS、営業CF、有形固定資産等の取得は、yfinanceの年次データと決算短信が一致しました。直近12カ月の収益15.04兆円、営業CF 7,326億円も一致しています。問題はyfinanceの派生項目で、訂正表を参照してください。

原資料にしか書かれていないこと

  • バークシャーの保有10.83%:EDINETの変更報告書No.4(ナショナル・インデムニティー、2026年7月1日提出、報告義務発生日6月24日)。310,311,400株、保有割合9.82%→10.83%、純投資、取得資金合計5,209億円はすべて自己資金で、平均取得単価は約1,679円(推定)、現在の株価で約1.53兆円(推定)です。有価証券報告書には、2025年9月24日付の臨時報告書のとおりナショナル・インデムニティーが主要株主(議決権10%以上)に該当したとの記載もあります。確認できたのは7月1日の報告書までで、その後の報告書の有無は確認できず。
  • 保証:2026年3月末の潜在的最大支払額は1.148兆円、保証残高6,288億円、求償可能額控除後の実保証額5,657億円で、大半が持分法適用会社向けです(有価証券報告書注記25、2026年6月12日)。
  • 中東の評価前提:中東のLNG投資(FVTOCI、その他の包括利益を通じて公正価値測定)は「中東情勢が短期的に正常化に向かう」との仮定で評価しています(有価証券報告書)。1Qの損益計算書上の受取配当金(全投資先、中東に限らず)は305億円から238億円に減りました。
  • ロシア:サハリンⅡは確率加重の公正価値で計上し、2026年3月期のエネルギーセグメントの雑損益にはArctic LNG 2関連が含まれます(決算短信)。
  • 市況感応度(2027年3月期事業計画):連結油価1ドル=90億円(Net、前提84ドル)、米国ガス0.1ドル/mmBtu=12億円、鉄鉱石1ドル/トン=30億円、銅100ドル/トン=5億円(前提12,000ドル)、ドル円1円=46億円(前提150円)、豪ドル1円=18億円(決算説明会資料、2026年8月4日)。
  • 通期計画には一過性940億円が含まれる:2027年3月期計画9,200億円には資産リサイクル・評価性/一過性要因940億円が含まれ、1Qで434億円を計上済みです(決算説明会資料)。
  • セグメント再編:2026年4月から電力事業をエネルギーからモビリティ・デジタル・インフラに移管し、前年同期を修正再表示しています。各セグメントの名称も変わりました。
  • 決算短信の訂正:2026年1月30日に2025年3月期第3四半期決算短信の持分変動計算書(自己株式の1行)を訂正しました。利益への影響はありません。
  • 米国上場の経緯:2011年にNASDAQ上場を廃止し、SECへの届出はないため、一次情報は日本のEDINETとTDnetに限られます。

データベンダーの誤り

項目yfinance原資料(計算方法つき)
trailingEps / trailingPE290.71円/17.0倍

直近4四半期の基本的EPS 328.17円 = 80.73 + 65.67 + 78.04 + 103.73(決算短信の累計EPSの差分)、PERは 15.0倍。290.71は2026年3月期通期のEPS(基本的291.12円、希薄化後290.86円)に近く、更新されていません。

forwardEps / forwardPE293.85円/16.8倍

コンセンサスの今期(356.94円)や来期(368.05円)、会社予想(324.54円、決算短信2026年8月4日)のいずれとも一致しません。会社予想ベースのPERは 15.2倍、コンセンサスベースでは 13.8倍です。

freeCashflow−7,312億円

算出方法を再現できません。三井物産の定義(営業CF+投資CF)では直近4四半期で −2,199億円、営業CF 7,326億円−有形固定資産等の取得11,205億円= −3,879億円です。

operatingMargins / Operating Income3.4%、2026年3月期の営業利益4,260億円

三井物産のIFRS損益計算書には営業利益の行がありません。4,260億円=売上総利益13,282億円−販売費及び一般管理費9,021億円で、持分法による投資損益4,474億円(税前利益の41.2%)を含まず、収益力を大きく過小評価します。

trailingAnnualDividendRate0.0

2026年3月期の実際の配当は 115円(中間55円+期末60円)、2027年3月期は140円の予定です(決算短信)。dividendYield 2.9はパーセント表示で、140円ベースでは2.84%です。

quarterly_income_stmt / quarterly_cashflow空(希薄化後EPSが2四半期分のみ)

2025年3月期~2027年3月期の決算短信9本(会社IRライブラリーのPDF)から累計値の差分で単四半期8期分を再構成しました。第4四半期=通期−第3四半期累計です。

sector / industryIndustrials / Conglomerates

東証の業種分類は卸売業(総合商社)で、業種比較にはTOPIX-17 商社・卸売 ETF(1629.T)を使います。

1306.T、1629.Tの日次終値2026年3月30日・31日の終値が通常の約10分の1

明らかなデータエラーです(1306.Tは前後約375に対し36.9)。market.pyで除外しており、本銘柄のデータには影響しません。

05

株価の推移

相対パフォーマンス(起点=100)
8031.T日経平均TOPIXS&P 500
7510012515017520024-1025-0125-0425-0725-1026-0126-0426-0726-10173日経平均160TOPIX1548031.T133S&P 500
週次終値(調整後)、2024-10-06 を100として指数化。右端の数字は期末の値です。
四半期売上高と営業利益率
売上高(左軸)営業利益率(右軸)
0100020003000400050000%100%¥B23-0923-1224-0324-0624-0924-1225-0325-0625-0925-1226-0326-064347.6
直近12四半期。出典:EDINET / TDnet。
06

同業比較

ティッカー名称時価総額1カ月年初来1年PER 実績PER 今期売上成長率粗利率営業利益率
8031.TMITSUI & CO¥14.01T-0.2%+8.7%+37.1%17.0x13.8x+31.7%9.6%3.4%
8058.TMITSUBISHI CORP¥17.47T+0.6%+36.0%+38.1%22.8x14.5x+22.8%9.0%2.9%
8001.TITOCHU CORP¥15.43T+5.8%+14.1%+33.7%17.3x15.6x+8.9%16.8%5.3%
8002.TMARUBENI CORP¥7.84T-0.9%+13.3%+33.4%14.6x12.7x+20.6%14.5%5.1%
8053.TSUMITOMO CORP¥8.37T-0.1%+34.1%+69.2%14.2x12.6x+9.0%20.6%5.3%
8015.TTOYOTA TSUSHO CORP¥6.78T-2.6%+39.6%+79.4%20.6x15.6x+37.6%10.8%5.2%
同業中央値¥8.37T-0.1%+34.1%+38.1%17.3x14.5x+20.6%14.5%5.2%

yfinance の集計で、決算書とは照合していません。今期PER=株価 ÷ 今期(0y)予想 EPS。forwardPE が来期ベースになる問題を避けています。同業の出典:内置综合商社同行表。中央値は本銘柄を除きます。

今期(2027年3月期)コンセンサスベースで三井物産のPERは13.8倍、同業中央値は14.5倍(三菱商事14.5倍、伊藤忠商事15.6倍、丸紅12.7倍、住友商事12.6倍、豊田通商15.6倍)で4.8%割安です。会社予想ベースでは15.2倍です。5社ともyfinanceに今期予想があり、同じ基準で比較しています。

株価は出遅れています。1年騰落率37.1%に対し、住友商事は69.2%、豊田通商は79.4%上昇し、三菱商事(38.1%)、伊藤忠商事(33.7%)とはほぼ同水準です。表の増収率、売上総利益率、営業利益率は総合商社では比較になりません(商品取引額とyfinance独自の営業利益、訂正表参照)。豊田通商は自動車関連の取引が中心で、資源比率が他の4社と大きく異なります。

07

スマートマネー

誰が持ち、誰が売買しているか:追跡している人物のうち 1 人が 8031.T を保有

人物データ報告期間評価額 / レンジポートフォリオ比率四半期の変化
ウォーレン・バフェット大量保有(日本)2026-06-25310,311,400 株 · 保有割合 10.83%–
買い増し

各人物の最新の公開済み 13F、インサイダー報告、資産開示から。13F には約45日の遅れがあります。 スマートマネー →

08

この先の注目点

2026 年 10 月上旬

9月の自社株買い取得状況(TDnet)

8月は枠の5.6%しか使っていません。9月も約380億円を下回れば、1月末までに2,000億円を使い切るのは難しくなります。

2026 年 10 月下旬

日銀金融政策決定会合

追加利上げは円高要因で、円建て利益を押し下げます(1円あたり46億円)が、ドル建てリターンは押し上げます。

2026-11-04

2027年3月期中間決算(yfinanceのカレンダー、読んだ資料では未確認)

資産リサイクルとFVTPLを除いた四半期利益が2,300億円以上を保てるか。9,200億円の通期予想を上方修正するか。中東LNGの配当と評価、油価のタイムラグ分がどこまで表れるか。

2027-01-29

自社株買いの取得期間終了

2,000億円を使い切るか、追加の自社株買いを発表するか。取得した株式は2027年2月5日にすべて消却予定です。

待定

Penske Automotive非公開化の交渉

特別委員会が210ドルを受け入れるか。三井物産の出資額と資金調達、ネットDER(現在0.49倍)への影響。

持续

バークシャーの保有比率の変動(EDINETの変更報告書)

保有割合が1%以上変動すれば変更報告書の提出義務があります。買い増しは需給にプラス、売却ははっきりしたマイナスシグナルです。

リサーチ上の記録であり、投資助言ではありません。

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出典